2021.10.21
食物アレルギーがある乳幼児は少なくありません。原因として、鶏卵、牛乳、小麦が有名ですね。最近は牛乳、小麦が増えているそうです。それから、ピーナッツ、果物、魚卵(イクラなど)、甲殻類、果物・野菜のアレルギーもあります。木の実は最近増加傾向にあり、特にクルミが増えています。原因はよくわかりませんが、どうもパンやお菓子などに入っており、消費量が増えていることが原因ではないかと思われます。イクラ、などの魚卵も増えていますが、これも、食べる機会が増えているからでしょう。一方で、そばは低下傾向にあるようです。年齢とともに、食物アレルギーの頻度は減ってきます。小学校入学までに多くのお子さんは自然に食べられるようになります(寛解と呼びます)が、一部のお子さんは、寛解せず食物アレルギーが持続します。年齢とともに、原因のアレルギー物質も変化し、7-17歳では果物、甲殻類、木の実、小麦、18歳以上では甲殻類、小麦、魚卵、果物、大豆の順に多いようです。
さて、どうしてアレルギーになってしまうのでしょうか?食物アレルギーの原因(アレルゲンとよびます)物質が、体内に取り込まれ、そのアレルゲンにたいする免疫反応により、蕁麻疹や喘息様症状、腹痛や下痢、嘔気、口腔内、目の腫れなどの症状を引き起こします。ひどくなると複数の臓器(部位)に全身性にアレルギー症状がひきおこされます。これをアナフィラキシーと呼びます。さらに悪化し、血圧低下や意識障害が引き起こされた状態、これがアナフィラキシーショックです。
ショックで亡くなる方は非常にわずかですが、決して油断はできません。アナフィラキシーを起こしたことがある方は、もちろん原因である食品を同定し、基本的にはそれを口にしないことが大事ですし、おかしいと思ったときに自分で注射が可能な(自己注射)「エピペン」を常に携帯しましょう。(エピペンは、講習を受けた医師なら処方が可能です。)
参考文献 アレルギー 2020; 69: 701-5
0-1歳 | 1-2歳 | 3-6歳 | 7-18歳 | 18歳以上 |
鶏卵 | 鶏卵 | 木の実 | 果物 | 甲殻類 |
牛乳 | 魚卵 | 魚卵 | 甲殻類 | 小麦 |
小麦 | 木の実 | ピーナッツ | 木の実 | 魚卵 |
牛乳 | 果物 | 小麦 | 果物 | |
果物 | 鶏卵 | 鶏卵 | 大豆 |