第83回日本めまい平衡医学会 報告

2024.11.18

第83回日本めまい平衡医学会に参加してきました

 11月14日、15日とお休みをいただき、めまいの勉強に行ってまいりました。今回は、名古屋市で開催されました。名古屋といえば、ひつまぶし、きしめん、味噌カツ、名古屋コーチン、トーストにあんこの載ったモーニングセット、などのグルメが有名ですが、残念ながらそれらを味わう暇もなく、ひたすら学会に参加しておりました。聴講した演題は「めまい救急のNew トレンド」、「vHITVEMP、WBT」、「相談医ブラッシュアップセミナー」「Bone conducted vibration is a vestibular stimulus: relating physiology to clinical phenomena (骨伝達振動法?による前庭刺激検査:海外演者による英語講演)」、「重心動揺計」などなど、合計8講演です。

 あまりに専門的すぎて、残念ながら皆様にお話しできる内容はあまりありません。ちなみに「vHITVEMP、WBT」はいずれもめまい検査の名称です。からだのバランスをつかさどる半規管は3つの輪(前半規管、外側半規管、後半規管)からできていますが、“vHIT”はそのひとつひとつの働きに異常がないかを評価することができます。私がかつて所属していた大学病院では日本でいち早くvHITを導入していたので、私にもなじみがあります。導入したては、これで何がわかるのだろうと思っていましたが、本当に素晴らしい検査で、2022年から保険適用になり、徐々に普及しているようです。値段は中級車なみですが、今後当院でも導入を検討したいと思っています。“重心動揺計”は当院でも導入していますが、分析方法に多少の進歩がみられていました。

めまい疾患は末梢性から中枢性まで多彩であり、診断には、もちろん経験も重要ですが、同時に適切な検査も必要となります。海外演者による“Bone conducted vibration (骨伝導振動刺激)”による新しい検査も非常に興味深く拝聴しました(すべては理解できていませんが。。。)。今後もときどき学会に参加して、最新の知識を吸収したいと思います。

最後になりますが、日本におけるVEMPの検査の開発、普及に多大なる貢献をされた室伏利久教授(帝京大学)が今年春に若くしてこの世をさられたことを知りました。この学会を主催された名古屋市立大学の岩崎教授の東京大学時代の師匠にあたるそうで、岩崎教授が会長講演の際、室伏先生の話題を思い出し言葉がつまらせていたこと、また、室伏先生が一時留学していたオーストラリアから来られた、海外演者の先生も講演の最後に哀愁こもった声で「Vale Toshi(安らかに Toshi)」とつぶやいたことが心に響きました。