耳鼻咽喉科臨床学会で学んだこと1 女性落語家

2024.07.14

 今回の学会では、「小児疾患ガイドライン」、「理系学生から落語家へ、そして真打へ~トークと落語講演」、「地域医療 やぶ医者の挑戦~ひともまちも元気にする新しい地域医療を目指して~」、「ここまでできる安全なステロイド使用」、「耳鼻咽喉科リハビリ」の計5つの講演を拝聴しました。

 この中で、印象に残った講演であるが、1つは「理系学生から落語家へ・・・」、そしてもう一つが「地域医療 やぶ医者の挑戦・・・」である。どちらも耳鼻咽喉科疾患とは関連が薄いかもしれないが、普段、学会でアレルギーや耳鼻咽喉科のテーマばかり聴講していると、辟易するので、こんな変化球がうれしいのである。

 「理系学生から落語家へ・・・」を講演していたのは、女性の真打、立川小春志師匠である。男女共同参画がテーマであり、落語会は江戸時代より、師匠と弟子の関係を結んだ徒弟制度により築かれており、圧倒的男性優位なんだそうだ。最近の医療界の方がよっぽど男女平等が浸透しているかもしれない。師匠は、東京農工大学出身で、もともとは昆虫の研究がしたかったそう。大学入学後、先輩からご飯をおごられ、その後連れていかれた落語研究会(通称 (おち)(けん))にそのまま入部したそうで、もともとは落語には全く興味がなかったそうである。大学院にまで進学し、トビムシという昆虫を研究し、昆虫学者になるのが夢だったそうだが、学会の古い体質に嫌気がさし、退学し、落語の世界に飛び込んだとのこと。彼女の師匠は立川談春。談春の落語の圧倒的臨場感、迫力にほれ込んで弟子入りを志願し、その熱意が伝わり入門が許されたとのこと。見習い、二つ目と厳しい修行を経て、今では、立派に真打にまで上り詰め、弟子がとれる身分になっている。そういえば、確かに最近女性落語家もちらほらTV等でもみかけるようになってきたようで、落語会にも少しずつ変革が起こっているようだ。男女共同参画に関する国際的な指数である、「ジェンダーギャップ指数」が、先日報道されていたが、2024年版では日本は世界118位だそうで、これでも前回の125位からは改善しているそうだけど、まだまだジェンダーギャップが大きい。そういえば、今日のYahooニュースでは、女性が初の検察長官に任命されることが決定したとのこと。日本も徐々に変わりつつありますね。頑張れ女性。でもお願い、優しくしてー!