2024.02.09
今年もスギ花粉の季節となりました。
うんざり という方も多いのでは。。。?
花粉症とは、さまざまな花粉によって生じるアレルギー性鼻炎の総称ですが、中でもスギ花粉症は国民の約半数近くが患っていると考えられており、まさに国民病です。
症状は、鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3症状が主体ですが、他にも、目のかゆみ、咳、頭痛、睡眠障害、集中力低下、倦怠感、など、多くの症状を引き起こし、労働・学習生産性も著しく低下させることが、大きな社会問題となっています。
治療の基本はまず、花粉を吸入しないことですが、吸入量を減らすことはできても、完全に避けることは難しく、特に小児では外で遊ぶ機会も多いことから症状のコントロールもままなりません。
薬物療法の基本は抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などですが、“症状が少しでも出始めたら”、あるいはマスコミ等で、“花粉飛散がはじまりました”と広報されたら直ちに治療を開始してください。花粉飛散ピークの症状がかなり緩和されます。薬物療法で充分な効果が得られない方は、「抗IgE抗体(ゾレア®)」という注射薬も使用可能です。ただし、投与量が血液中の総IgE値と体重によって決まるため、あらかじめ採血をしておく必要があります。
さらに、唯一の根本治療とも言える「アレルゲン免疫療法」という治療法もあります。アレルゲン免疫療法には、皮下注射による “皮下免疫療法” と、錠剤を舌の裏に留置した後に飲み込む “舌下免疫療法” があります。対象は、“スギ花粉症”および“ダニによる通年性アレルギー性鼻炎”です。最近は、より安全性の高い舌下免疫療法を選択されることが多くなり、アナフィラキシーのリスクがやや高くなる皮下免疫療法は、一部の専門病院で行われています。当院ではダニとスギの舌下免疫療法を行っていますので、詳細はお問合せください。ただし、スギに対する舌下免疫療法は、スギ花粉飛散期には始められないので、6月~10月くらいにはじめるのがよいでしょう
他には、重症患者さん向けに手術療法もあります。詳細は割愛します。
さて、医療者向けの本ですが、「鼻アレルギー診療ガイドライン」の改訂版(2024年版)が、近々お目見えします。僭越ながら、私も作成委員の一人として、一部を執筆しております。(このガイドラインに関わるのは今回が最後だと思いますが、医者になったころは、こんな仕事に関われるとは夢にも思っていませんでした)。また、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、「花粉症重症化ゼロ作戦」と銘打って、花粉症を含むアレルギー性鼻炎に関する啓発活動を行っています。